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- 風呂なし物件は需要がない?│売れにくい条件をチャンスに変える不動産売却(5)

現在では多くの住宅に浴室が備わっていますが、昭和期に建てられた古い住宅のなかには、いまも「風呂なし物件」が存在します。相続した家や空き家を売却しようとした際に、「風呂がないと売れないのではないか」「買い手が見つからないのではないか」と不安を感じるのではないでしょうか。
確かに、風呂なし物件は需要が限定されやすく、一般的な住宅と比べて売却が難しくなる傾向があります。現代の生活スタイルでは、自宅に浴室があることが前提と考えられることが多く、風呂なし物件は候補から外されやすいのが実情です。
しかし、風呂がないからといって必ず売れないわけではありません。物件の特性を正しく理解し、メリットを適切に伝えたり、状況に応じてリフォームを検討したりすることで、売却の可能性は十分に広がります。実際、風呂なし物件を購入し、銭湯通いを前提とした生活を楽しむ人や、リフォームを前提に価格の安さを重視する人も一定数存在します。
この記事では、風呂なし物件の特徴や売れにくい理由、売却時のポイント、リフォームの可否について、わかりやすく解説します。
風呂なし物件の特徴とは?意外なメリットも
風呂なし物件は、浴室スペースがない分、居室を広く使えるという特徴があります。脱衣所や浴槽、洗い場が不要なため、同じ床面積でも居住空間にゆとりが生まれます。たとえば20平方メートルのワンルームでも、浴室がなければその分だけ居室を広く使え、家具の配置やレイアウトの自由度が高まります。
また、浴室を使用しないことで、水道代やガス代を抑えられる可能性があります。入浴方法や生活スタイルによって差はありますが、一般的には単身者で月数千円程度、世帯人数が増えるほど光熱費の差が出る場合もあります。光熱費が高騰するなかで、こうした点をメリットと感じる人もいます。
さらに、風呂なし物件は購入価格が比較的安い傾向があります。同じ立地や築年数の物件と比べて、数十万円から数百万円程度低い価格で売り出されることも多く、初期費用を抑えたい人にとっては魅力的な選択肢になります。浮いた資金を生活費や将来的なリフォーム費用に回すことも可能です。
加えて、銭湯文化を楽しみたいというライフスタイルを好む人も一定数存在します。広い湯船でゆったりと入浴できることに魅力を感じ、自宅の浴室よりもリラックスできると考える人もいます。地域の銭湯に通うことで、常連客や店主との交流が生まれ、地域コミュニティとのつながりを感じられる点を評価する声もあります。
このように、物件の特徴を丁寧に伝えることで、風呂なし物件であっても納得して購入してくれる人が見つかる可能性があります。
デメリットは現代の生活スタイルとのギャップ
一方で、風呂なし物件には明確なデメリットもあります。最大の点は、日常的に銭湯やシャワー施設を利用する必要があることです。外出の手間や利用料金がかかるため、一般的な住宅と比べて不便に感じる人が多くなります。
銭湯の利用料金は地域によって異なりますが、東京都では大人1人あたり500円前後が一般的です。毎日利用すると月に1万円以上の出費となり、年間では十数万円に及ぶこともあります。光熱費の節約分を考慮しても、経済的なメリットが必ずしも大きいとは限りません。
また、銭湯の営業時間や定休日に生活を合わせる必要がある点も不便です。深夜や早朝に入浴したい場合や、体調が優れないときに外出することが負担になる場合もあります。さらに、近隣に銭湯がない地域では、風呂なし物件での生活自体が現実的でないケースもあります。銭湯の数は年々減少しており、将来的な利用環境の変化にも注意が必要です。
古い風呂なし物件では、給湯設備やガス設備が十分に整っていないこともあります。ガスコンロが設置できない、給湯器を後付けできないといった制約があり、生活の自由度が下がる場合もあります。電気コンロやIHで代替できるケースもありますが、使い勝手を不安に感じる人もいます。
さらに、風呂なし物件は住宅ローンの審査が厳しくなる傾向があります。金融機関は担保価値を重視するため、資産価値が低いと判断されやすい物件では融資条件が厳しくなったり、ローンが利用できなかったりすることがあります。その結果、購入できる人が現金購入を前提とした層に限られ、需要がさらに絞られます。
こうした事情から、相場より価格を下げなければ売却が進みにくいのが実情です。一般的には、同条件の風呂あり物件と比べて、一定程度低い価格設定が必要になることが多いです。
リフォームでお風呂を設置できる?
風呂なし物件でも、リフォームによって浴室を設置できる場合があります。ユニットバスを新設する工事が一般的で、限られたスペースでも設置可能なコンパクトタイプも増えています。浴室を設けることで、物件の利便性や資産価値が向上し、売却しやすくなる可能性もあります。
ただし、浴室を新設するには給排水設備の工事が必要となり、居室の一部を削る必要が出てくることもあります。たとえば6畳の部屋が4.5畳程度になるなど、生活空間が狭くなる点は避けられません。もともと間取りに余裕がない物件では、住みにくさが増す可能性もあります。
工事費用も無視できません。ユニットバスの設置費用は、内容によって差はありますが、本体と工事費を含めておおむね100万円から200万円程度が目安です。給排水管の引き込みや構造補強が必要な場合には、さらに費用がかかることもあります。
仮に150万円のリフォーム費用をかけても、売却価格が同額以上に上がるとは限りません。リフォーム費用を回収できないケースも多いため、事前に不動産会社へ相談し、リフォーム前後の想定価格を比較したうえで判断することが重要です。
また、浴室を設置したからといって必ずしも早期に売れるとは限りません。立地や築年数、周辺環境といった要素も売却結果に大きく影響します。
現状のまま売る?リフォーム?売却のポイント
風呂なし物件を現状のまま売却する場合は、居室の広さや間取り、光熱費を抑えやすい点、近隣に銭湯があるといったメリットを丁寧に伝えることが大切です。買主の不安を和らげることで、検討対象として残りやすくなります。
広告や説明では、日当たりや収納、立地条件など、物件の良い点を具体的に示しましょう。徒歩圏内に銭湯がある場合は、その場所や営業時間、料金などを伝えることで、生活イメージを持ってもらいやすくなります。
価格設定も重要です。安く設定しすぎると不安を与えることがあるため、複数の不動産会社に査定を依頼し、相場を把握したうえで適正価格を見極める必要があります。
リフォームを行う場合は、費用対効果を慎重に検討することが不可欠です。事前に不動産会社へ相談し、リフォーム後の想定売却価格と費用を比較したうえで判断しましょう。
売却が難しい場合には、建物を解体して更地として売却する選択肢もあります。ただし、解体費用がかかることに加え、更地にすると住宅用地の特例が適用されなくなり、固定資産税が高くなる点には注意が必要です。解体後すぐに売却できる見込みがあるかを慎重に見極めることが大切です。
まとめ:風呂なし物件は工夫次第で売却可能
風呂なし物件は確かに売却が難しい傾向がありますが、間取りの広さや価格面の魅力を適切に伝えることで、購入希望者が見つかる可能性はあります。リフォームの可否や費用対効果を踏まえ、物件に合った売却方法を選ぶことが重要です。
風呂なし物件を検討する層としては、初期費用を抑えたい単身者や、銭湯文化を楽しみたい人、リフォーム前提で物件を探している人などが挙げられます。こうした層を意識した情報発信が、売却成功のポイントになります。
中野区を中心に東京23区で不動産売却をサポートする「中野リーガルホーム」では、法律と不動産の両面から売却を支援しています。風呂なし物件の売却で悩んでいる方も、まずは専門家に相談してみてください。物件の特性を踏まえた適切な戦略を立てることで、納得のいく売却につながります。
初回投稿日: 2023年8月29日
最終更新日:2025年12月23日









