根抵当権付きの家や土地は売れるの?│相続不動産の売却

根抵当権の付いた不動産を相続した場合の対応について解説!

親から家や土地を相続したとき、登記簿を確認すると「根抵当権」という見慣れない言葉が記載されていることがあります。「この不動産は売れるの?」「借金を引き継がないといけないの?」と不安になる方も多いでしょう。

根抵当権は、親が事業資金や繰り返しの借入のために設定した担保権です。通常の住宅ローンの抵当権とは性質が異なり、対応を誤ると思わぬリスクを負うことになります。

この記事では、根抵当権とは何か、相続時の判断ポイント、そして具体的な手続きの流れまで、わかりやすく解説します。

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抵当権と根抵当権の違いとは

「根抵当権」という言葉はあまり耳慣れないかもしれませんが、「抵当権」なら住宅ローンの担保としてイメージできる人も多いでしょう。両者は似ているようで仕組みが大きく異なるため、その違いを比較してみましょう。

抵当権とは

一度の借金を担保する権利のこと。
住宅ローンを組むとき、銀行は「返済できなくなったら、この不動産を売却して返済に充てる」という権利を設定します。これが抵当権です。

抵当権の特徴

  • 特定の借金(住宅ローンなど)だけが対象
  • 借金を完済すれば自動的に消える
  • 完済後に抹消登記をすれば権利は完全に消滅

根抵当権とは

複数の借金をまとめて担保する権利のこと。事業資金など繰り返しの借入を想定した担保権です。
たとえば、親が事業を営んでいて金融機関から何度も資金を借りる場合、毎回抵当権を設定するのは手間がかかります。そこで「この不動産を将来の借入もまとめて担保にします」という契約を結ぶのが根抵当権です。

根抵当権の特徴

  • 上限額(極度額)の範囲内で何度でも借入可能
  • 借金を完済しても契約は自動では消えない
  • 金融機関と合意して契約終了しないと抹消できない

不動産売却時の注意点

不動産を売却する際は、抵当権も根抵当権も必ず抹消してから引き渡すのが原則です。

抵当権:借金を返済すれば抹消可能
根抵当権:返済だけでなく、金融機関との契約終了の合意が必要

根抵当権は事業だけでなく個人でも利用される

根抵当権は事業継承の場面だけでなく、個人や投資家も利用しています。

  • 不動産投資家のケース
    マンションやアパートを複数購入する投資家が、銀行から繰り返し融資を受ける場合、毎回抵当権を設定するのは非効率です。根抵当権を設定することで、同じ不動産を担保に何度も借入ができるようになります。
  • 個人の複数ローンのケース
    同じ銀行から教育ローンや車のローンなど複数の借入をする場合、「まとめて担保にする」契約として根抵当権が使われることもあります。

【相続手続き相談室】用語集「根抵当権」とは

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根抵当権を相続するメリット・デメリット

相続が発生したら、早めの判断と行動が必要です。

根抵当権の存在に気づくタイミング

  • 登記簿の確認
    法務局で不動産の登記簿謄本を取得すると、「根抵当権」の設定の有無が記載されています。
  • 金融機関からの通知
    親が借入をしていた金融機関から、相続に関する通知や契約書類が届くことがあります。
  • 専門家による確認
    司法書士に相続登記を依頼すると、登記簿をチェックして根抵当権の有無を知らせてくれます。

判断する目安

  • 6カ月以内:根抵当権の効力期限
    相続開始から6カ月を過ぎると、根抵当権の効力が失われ、「新たな借金を担保する枠」が消滅します。ただし、既存の借金が残っている場合、返済義務はそのまま相続人が負担します。
  • 3カ月以内:相続放棄の期限
    「借金ごと相続したくない」と考える場合、相続放棄の手続きは3カ月以内に家庭裁判所で行う必要があります。

根抵当権を相続するメリット・デメリット

判断に迷う場合は、メリットとデメリットを比較して決めましょう。

👍メリット

  • 事業を続けやすい
    すでに金融機関との契約があるため、追加融資を受けやすい環境が整っています。
  • 繰り返し借入が可能
    新しい抵当権を毎回設定する手間がなく、資金調達がスムーズに行えます。
  • 事業の信用維持
    親の事業をそのまま継ぐ形になるため、金融機関との信頼関係を保ちやすくなります。

👊デメリット

  • 借金の責任を負うリスク
    事業を継ぐ相続人は、今後の借金も含めて責任を負うことになります。
  • 契約が自動で消えない
    借金がゼロでも契約は残り、金融機関と合意して終了手続きをしないと消えません。
  • 相続人全員に一時的な負担
    手続き上、最初は相続人全員が債務者として登記されるため、事業に関係ない相続人も一時的に責任を負います。

根抵当権を相続する場合の手続きの流れ

被相続人の事業を相続人が継続する場合、下記の流れにしたがって根抵当権がついた物件をそのまま相続すると良いでしょう。

相続人への所有権移転登記(相続登記)

根抵当権の「借金をする人(債務者)」を、親から相続人全員に変更します。実際に事業を継ぐのは一人でも、最初は全員を債務者として登記する必要があります。

根抵当権の債務者変更登記

次に、根抵当権の債務者を被相続人から相続人全員へと変更する債務者変更登記をおこないます。
債務者を相続人のうち誰か一人に選ぶとしても、いったん相続人全員分の登記が必要です。

指定債務者の合意の登記

最終的に「事業を継ぐ相続人」を正式な債務者として指定します。これにより、事業に関係のない相続人は新しい借金の責任を負わなくて済みます。

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根抵当権を相続しない場合の手続きの流れ

事業を継続する予定がない場合、根抵当権を残しておいてもメリットはないため、下記の方法で抹消の手続きを進めましょう。

相続放棄を選ぶ場合

プラスの財産よりも借金などのマイナスの財産が多いときは、相続放棄を選択できます。
手続き期限:相続が始まったことを知ってから3カ月以内に家庭裁判所で手続きが必要です。

根抵当権の抹消

相続放棄をしない場合は、不動産に設定されている根抵当権を抹消する必要があります。

  1. 相続開始から6カ月後に借金の元本が確定
  2. その時点で債務をすべて返済
  3. 金融機関と合意して根抵当権を抹消

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まとめ:根抵当権の相続は専門家に相談を

根抵当権は、決められた額の範囲内で何度でも融資を受けられる仕組みです。相続した不動産に根抵当権がついている場合は、事業を継続するかどうかによって「そのまま相続する」か「抹消する」かを判断する必要があります。

専門家への相談が重要な理由

  • 相続放棄は3カ月以内、根抵当権の効力は6カ月以内という厳しい期限がある
  • 判断を誤ると借金の責任を負うリスクがある
  • 登記や金融機関との合意など専門的な手続きが必要

司法書士や不動産会社などの専門家に相談すれば、相続登記や根抵当権の抹消手続き、売却の流れまで安心して進めることができます。
相続不動産売却の流れについて詳しくはこちら

中野リーガルホームは、清澤司法書士事務所を母体とし、中野区を中心に東京23区エリアで不動産売却のサポートを行っています。根抵当権が設定された不動産の相続や売却でお困りの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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