土壌汚染のある土地は売れる?│売れにくい条件をチャンスに変える不動産売却(4)

土壌汚染のある土地を売却する方法とトラブル回避に向けた調査について

 相続した土地や手放したい土地について「土壌汚染の可能性がある」と言われたら、どう対応すればよいのでしょうか。「このまま売れるのだろうか」「汚染が見つかれば高額な費用がかかるのではないか」と不安になり、何から手を付ければよいのかわからなくなる方も多いと思います。

実際、土壌汚染の可能性を把握しながら十分な説明をせずに売却すると、契約不適合責任や損害賠償請求といった深刻なトラブルにつながるおそれがあります。土壌汚染については、売主が把握している事実を買主に説明する責任があり、意図的に隠すことは認められません。「知らなかった」では済まされず、後から発覚すれば売主が大きな責任を負う可能性があります。

もっとも、必要な調査や制度を正しく理解し、適切な売却方法を選択すれば、リスクを抑えながら土地を売却することは可能です。この記事では、土壌汚染の基礎知識、売却後に起こりやすいトラブル、調査が必要となるケース、そして現実的な売却方法について、わかりやすく解説します。「どう進めればよいかわからない」と悩んでいる方にとって、判断の手がかりとなる情報をお届けします。

目次

土壌汚染とは何か?健康と環境に影響を及ぼす状態

 土壌汚染とは、土地の土壌や地下水に有害物質が含まれ、人の健康や生活環境に悪影響を及ぼすおそれがある状態を指します。土壌汚染対策法では、鉛、ヒ素、六価クロム、トリクロロエチレン、ベンゼンなど、現在26種類の特定有害物質が指定されており、これらが国の定める基準値を超えて検出された場合、土壌汚染があると判断されます。

土壌汚染は、工場跡地やガソリンスタンド跡地、クリーニング店跡地などで発生しやすい傾向があります。これらの施設では、過去に有害物質を含む薬品や燃料が使用されており、地下タンクからの漏えいや不十分な排水処理によって、土壌や地下水が汚染された事例が少なくありません。また、長期間操業していた工場用地では、現在の環境基準が整備される以前の影響が残っていることもあります。

基準値を超える汚染が確認された場合、土地の売買に大きな影響が出ます。買主が購入を断念することもあれば、大幅な価格交渉を求められることもあります。さらに、汚染の内容や状況によっては、行政から調査や措置を求められ、対策費用を負担しなければならない可能性もあります。

土壌汚染は目に見えないため、外観だけで判断することはできません。そのため、過去の土地利用履歴を調べることが重要です。登記簿謄本、自治体が保管する資料、古い住宅地図などを確認し、以前どのような用途で使われていた土地なのかを把握することが、リスク判断の第一歩になります。

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売却後に考えられるトラブル

 土壌汚染の可能性を認識しながら、買主に十分な説明をしないまま売却した場合、契約解除や損害賠償請求に発展するおそれがあります。売主には、把握している重要な事実を正確に説明する責任があり、土壌汚染に関する情報もその対象となります。

特に、汚染の事実や可能性を意図的に隠して売却した場合には、民法上の詐欺に該当すると判断される可能性があります。詐欺が成立すると、買主は契約を取り消すことができ、売主は受け取った売買代金を返還しなければなりません。さらに、買主が負担した調査費用や対策費用などについて、損害賠償責任を負う可能性もあります。

また、契約不適合責任が問題となるケースもあります。契約不適合責任とは、引き渡された土地が契約内容に適合していない場合に、売主が負う責任のことです。たとえば、買主が「汚染のない土地」と認識して購入したにもかかわらず、実際には土壌汚染が存在していた場合、買主から浄化の実施、代金の減額、損害賠償、契約解除などを求められる可能性があります。

土壌汚染の対策費用は、汚染の範囲や深さ、物質の種類によって大きく異なりますが、数百万円から数千万円、場合によっては億単位に及ぶこともあります。売却後に発覚すると、金銭的・精神的な負担は非常に大きくなります。

たとえ売主自身が汚染の存在を把握していなかった場合でも、過去の土地利用状況から容易に汚染の可能性を推測できたにもかかわらず、何の確認もしなかった場合には、「注意義務を怠った」と判断され、責任を問われる可能性があります。

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土壌汚染調査が必要となるケース

 土壌汚染調査は、すべての土地で一律に義務付けられているわけではありません。ただし、土壌汚染対策法に基づき、一定の条件に該当する場合には、調査や届出が必要になります。

代表的な例として、水質汚濁防止法で定められた有害物質を使用していた特定施設を廃止する場合には、原則として土壌調査と都道府県知事への報告が求められます。また、一定規模以上の土地について形質変更(掘削や盛土など)を行う場合には、事前の届出が必要となり、状況に応じて調査や措置を命じられることがあります。さらに、土壌汚染によって健康被害が生じるおそれがあると行政が判断した場合には、調査命令が出されることもあります。

これらの法的義務に該当しない場合でも、買主から調査を求められたり、過去の土地利用から汚染リスクが高いと考えられたりする場合には、売却前に調査を行うことが有効です。特に、工場やガソリンスタンド、クリーニング店などの跡地では、買主が土壌汚染を懸念するのが一般的で、調査結果がなければ取引が進まないこともあります。

自治体が公表している資料や過去の土地利用情報を確認することで、リスクをある程度把握することもできます。地域によっては、土壌汚染に関する情報や地下水汚染の履歴を公開している場合があります。

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土壌汚染の可能性がある土地を売却する方法

 土壌汚染の可能性がある土地であっても、法律上、売却自体が禁止されているわけではありません。ただし、方法を誤るとトラブルになりやすいため、慎重な対応が必要です。

売却前に土壌調査を行い、汚染の有無や程度を明らかにしておくことで、買主はリスクを理解したうえで判断でき、取引が円滑に進みやすくなります。調査結果を正直に開示することは、後日の紛争防止にもつながります。

汚染が確認されなければ、通常の土地として売却できます。汚染が見つかった場合でも、その範囲や内容が明確になれば、価格調整や対策方法を含めた現実的な交渉が可能になります。

汚染が判明した場合の対応として、浄化費用を見込んで売却価格を下げる方法もあります。一般的には売主が浄化してから売却しますが、費用や時間の負担が大きいため、買主が購入後に浄化を行う前提で価格を調整するケースもあります。この場合、浄化費用の見積もりが妥当であるかについて、双方が十分に納得したうえで合意することが重要です。

また、汚染があっても土地を活用できる買主を探すという選択肢もあります。立地条件が良い土地であれば、駐車場や資材置き場、倉庫用地などとして利用できるため、汚染よりも用途や立地を重視する事業者や投資家が関心を示すことがあります。こうした買主を見つけるためには、土壌汚染案件に詳しい不動産会社や専門業者に相談することが有効です。

売れにくい条件をチャンスに変える不動産売却シリーズ

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まとめ:適切な対策で売却の可能性がある

 土壌汚染のある土地は、確かに売却が難しくなる傾向がありますが、調査や情報開示、適切な価格設定を行えば、売却は十分に可能です。重要なのは、リスクを正しく把握し、買主が納得できる状態で取引を進めることです。

土壌汚染を隠して売却すると、後から必ず問題になります。正確な情報を開示し、必要に応じて調査や専門家の助言を受けることが、結果的に売主自身を守ることにもつながります。

司法書士事務所が母体の「中野リーガルホーム」では、法律と不動産の両面から、土壌汚染の可能性がある土地の売却をサポートしています。調査の要否判断から専門業者の紹介、買主との交渉、契約書作成まで、ワンストップで対応しています。

「土壌汚染があるかもしれない」と不安を感じている方こそ、早めに専門家へ相談することが大切です。適切な助言を受けることで、安心して次の一歩を踏み出すことができます。

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初回投稿日: 2023年8月29日
最終更新日:2025年12月23日

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