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- 残置物だらけの家でも売れる?│売れにくい条件をチャンスに変える不動産売却(8)

「これだけの荷物をどうやって片づければいいのか」「片づけだけで何カ月もかかりそうだ」
相続した家や、長年空き家になっていた物件を売却しようとしたとき、室内に残された家具や家電、生活用品の多さに戸惑うケースは珍しくありません。遠方に住んでいる場合や、仕事や家庭の事情で頻繁に現地へ通えない場合には、なおさら負担が大きくなります。
大量の残置物は内見時の印象を悪くし、結果として買主が見つかりにくくなるのも事実です。不動産売却では、原則として空室状態で引き渡すことが想定されていますが、状況によっては残置物があるままでも売却を進められる方法があります。
この記事では、残置物の基本的な考え方から、トラブルを避けるための注意点、そして残置物があっても現実的に売却を進めるための選択肢について、わかりやすく解説します。
目次
残置物とは?相続不動産や空き家に残される荷物
不動産売却の現場では、前の所有者が使用していた家具や家電、日用品などがそのまま残っているケースが多く見られます。相続不動産や長期間放置された空き家では、生活用品だけでなく、趣味の道具や書類、物置に収納された物まで残されていることも珍しくありません。こうした私物はまとめて「残置物」と呼ばれ、売却を進めるうえで大きな課題になります。
【相続手続き相談室】用語集「残置物」とは
残置物の内容はさまざまです。タンスやベッド、ソファといった大型家具、冷蔵庫や洗濯機、テレビなどの家電製品、食器や衣類、本や雑誌などの日用品、さらには仏壇や写真アルバムといった思い出の品まで、多岐にわたります。長年住み続けた住宅では、数十年分の荷物が蓄積されていることもあり、その量は想像以上になることがあります。
残置物を残したまま引き渡すと、「撤去されていると思っていた」「不要な荷物が残っている」といった認識の違いから、買主とのトラブルに発展する可能性があります。多くの買主は「空の状態で引き渡される」ことを前提に考えているため、残置物があると不信感を抱かれ、場合によっては契約不適合責任を問われるおそれもあります。
まずは、何がどの程度残っているのかを把握することが重要です。現地で部屋ごとに写真を撮影して記録しておくと、不動産会社や片づけ業者へ相談する際にも役立ち、売却準備をスムーズに進めやすくなります。
残置物が引き起こすトラブル
残置物に関するトラブルの多くは、「残すもの」と「撤去すべきもの」を明確にしないまま売却を進めてしまうことが原因です。給湯器やキッチン設備、換気扇など、建物に固定されている設備は、原則として物件に付属するものとして引き渡されます。一方で、家具や家電、カーテン、照明器具などは、原則として売主が撤去すべきものと考えられています。
特に判断が難しいのが、エアコンや照明器具のように「取り外し可能だが設置されている設備」です。比較的新しいエアコンであれば、買主が「そのまま使いたい」と希望することもありますが、古いものや故障の可能性がある場合は、撤去を求められるケースが多くなります。使用年数や状態によって扱いが変わるため、事前の確認が欠かせません。
また、売却後であっても、残置物の所有権は原則として売主に残ります。そのため、買主が売主の承諾なく処分することはできません。売主が「不要だから置いておけばよい」と考えていても、買主にとっては処分費用や手間が発生する負担となり、契約内容によっては契約不適合責任を追及される可能性があります。
契約不適合責任とは、引き渡された不動産が契約内容と適合していない場合に、売主が負う責任のことです。残置物が残った状態で引き渡されたことが契約内容と異なると判断されれば、買主は残置物の撤去を求める追完請求や、代金減額請求、損害賠償請求、契約解除などを主張できる場合があります。
「いずれ片づけるつもりだったが、引き渡しまでに間に合わなかった」というケースも注意が必要です。売主の認識と買主の期待にズレがあると、後々大きなトラブルになりかねません。こうした問題を防ぐためには、残すものと撤去するものを明確にし、必ず書面で取り決めておくことが重要です。
残置物を処分する方法は?
売却前に残置物を整理する場合、自治体のごみ収集や粗大ごみ回収を利用するのが一般的です。日用品や小型の家具は分別して処分できますが、大型家具や寝具などは粗大ごみとして事前予約が必要になります。手続きや料金は自治体ごとに異なるため、事前に確認しておくことが大切です。
エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機といった家電4品目は、家電リサイクル法に基づいて適切に処分する必要があります。リサイクル料金に加えて運搬費用がかかり、処分方法も限られるため注意が必要です。リサイクル料金は品目やメーカーによって異なりますが、1台あたり数千円程度が一般的な目安です。
自分で片づけを行う場合、時間と体力がかかります。特に大型家具や家電の搬出は一人では難しいことが多く、手伝いを頼む必要が出てきます。遠方に住んでいる場合は、交通費や宿泊費がかさむこともあります。
残置物が多い場合には、不用品回収業者や遺品整理業者に依頼する方法もあります。費用は物量や作業環境によって異なりますが、1Kや1DKで5万円から15万円程度、一戸建てで20万円から50万円程度が一つの目安とされています。ただし、荷物の量や状態によっては、さらに高額になることもあります。
業者に依頼することで、短期間で片づけが完了し、精神的・肉体的な負担を大きく減らせます。遺品整理業者の場合、貴重品や思い出の品を丁寧に仕分けてくれるサービスもあり、買取可能な品があれば費用を抑えられることもあります。
残置物がある不動産を売却するコツ
残置物は原則として撤去が必要ですが、買主の同意があれば残したまま売却することも可能です。状態の良いエアコンや照明器具などは、「そのまま使いたい」と希望されることもあり、場合によっては物件の魅力を高める要素になることもあります。
ただし、認識の違いを防ぐためには、残すものと撤去するものを明確にし、必ず書面に残すことが欠かせません。口頭での合意だけでは、後からトラブルになるおそれがあります。売買契約書の特約事項に「〇〇は残置物として引き渡す」「△△は引き渡しまでに撤去する」と具体的に記載し、必要に応じて写真を添付しておくと安心です。
また、付帯設備表を作成し、設備の有無や不具合の状況、撤去予定の有無を明記することで、契約不適合責任のリスクを軽減できます。給湯器やエアコン、照明器具などについて事前に整理しておくことで、引き渡し後のトラブルを防ぎやすくなります。
残置物が多く、片づけが現実的に難しい場合には、不動産会社による買取サービスを検討するのも一つの方法です。価格は仲介より低くなる傾向がありますが、撤去費用や時間、労力を考慮すると、結果的に合理的な選択となるケースもあります。
まとめ:残置物のある不動産売却はご相談を
残置物の扱いは、不動産売却の成否を左右する重要なポイントです。基本は撤去して空室で引き渡すことですが、買主の同意を得て残したまま売却する方法や、買取サービスを利用する方法など、状況に応じた選択肢もあります。まずは残置物の量や内容を把握し、不動産会社と相談しながら最適な売却方法を検討することが大切です。
「残置物が多すぎて売却をあきらめかけている」という方でも、専門家に相談することで解決策が見えてくることがあります。自分で片づけるのが難しい場合でも、業者への依頼や買取の活用など、現実的な方法は複数あります。
司法書士事務所が母体の「中野リーガルホーム」では、相続登記から残置物の整理、売却戦略の検討まで、法律と不動産の両面から丁寧にサポートしています。
「こんなに荷物が多くても売れるのだろうか」と不安を感じている方も、ぜひお気軽にご相談ください。状況に応じた最適な解決策をご提案いたします。
初回投稿日: 2023年8月29日
最終更新日:2025年12月24日











