個人間・親族間で不動産を売買するときの注意点−トラブルや損失を防ぐためには?

親子や親族、知人同士で不動産を売買する「個人間・親族間売買」は、売主・買主がすでに決まっているため、手続きが簡単に思われがちです。しかし、税務・契約・資金調達の面で注意すべき点が多く、見落とすと思わぬトラブルや損失につながることがあります。→個人間売買親族間売買とは

個人間・親族間売買でのあらゆるトラブル回避のためには、どのような点に注意が必要かご説明いたします。

目次

個人間売買・親族間売買の注意点

注意点1:売買価格とみなし贈与

一般の不動産の販売開始価格は、相場価格を基に設定する場合が多いですが、個人間売買・親族間売買では、相場価格よりも安い金額で売買手続きを求められることがあります。また、売り手側も親や親戚に不動産を売るなら、「安くしてあげたい」と思うのは自然なことです。

でも、ちょっと待ってください!「著しく低い価格で財産を譲り受けた」場合、時価と支払った対価との差額に相当する金額は、譲渡した人から贈与により取得したものとみなされ(みなし贈与)、贈与税が課される可能性があります

例えば、本当は3,000万円の価値がある家を、親族だからという理由で1,000万円で売ったとします。
この場合、差額の2,000万円は「タダであげた」=「贈与した」とみなされ、贈与税がかかってしまう可能性があるんです。これが「みなし贈与」です。

国税庁のタックスアンサー(No.4423)でも、時価と売買価格の差額が贈与と判断されるケースが紹介されています。
出典:
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4423.htm
(国税庁のタックスアンサー)

特に「親族間での不動産売買」は税務署から「贈与税を逃れるための取引」ではないかと疑われ、マークされやすいのです。実際、悪用されれば脱税できてしまうのですから、厳しくチェックされるのも当然の事でしょう。

ですので、知り合いだから、親族だからと安く売却したい気持ちがあっても、適正価格を見極めて売買を進めることがポイントとなります。

個人間売買・親族間売買における不動産の適正価格は、市場相場の80%程度とされています。

しかしこの「市場価格」を正確に出すのはかなり難しいのです。なぜなら、不動産の価格は以下のような条件で大きく変わるから:

  • 土地の形や広さ
  • 道路との位置関係
  • 日当たりや方角
  • 建物の状態
  • その時の不動産市況

プロでないと正確な判断は困難なので、専門家に相談することをおすすめします。

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注意点2:契約の不備によるトラブル

個人間・親族間の不動産売買の注意点
個人間売買・親族間売買の場合、親族間の売買では、つい「身内だし、ちゃんと書類を作らなくても大丈夫」と思いがちです。でも、これが後々の大きなトラブルの原因になります。

👉よくあるトラブル例
ケース:雨漏りの修理費用は誰が払う?
売った後に雨漏りが見つかった場合、

  • 買った人:「こんな欠陥があるなんて聞いてない!修理代を出して!」
  • 売った人:「古い家だから、ある程度は我慢してもらわないと…」

こんな風に瑕疵担保についての認識に相違があった場合、特に言った・言わないで揉めてしまうことがよくあります。

一般の不動産取引では、必ず以下の書類を作ります:

  • 売買契約書:取引の内容を明確にする
  • 重要事項説明書:物件の問題点などを説明する

これらがあれば、「そんなこと聞いてない!」というトラブルを防げます。
不動産売買は高額な取引です。「家族だから」「知り合いだから」こそ、きちんと書類を作って、お互いが納得した上で進めたいものです。良い関係を続けるためにも、慎重に進めましょう。

注意点3:住宅ローンの利用が難しい

数千万円もする不動産を、現金でポンと買える人は少ないですよね。不動産売買において、購入資金を現金で用意できない場合は住宅ローンを利用する必要がありますが、住宅ローンを個人間・親族間売買で利用することに、金融機関は積極的ではありません

住宅ローンは「家を買うため」の低金利ローンです。
しかし親族間の売買だと、

  • 実は家のリフォーム代に使われる
  • 事業資金として使われる
  • 借金の返済に使われる

このように別の目的で使われても、銀行は気づけません。だから、銀行は慎重になるのでしょう。

個人間・親族間売買で住宅ローンの審査を通すためにはいくつかの条件をクリアする必要がありますが、ローン申請の準備にはまず不動産仲介の資格保有者が作成した「重要事項説明書」の提出などが必要となります。
つまり不動産仲介業者への依頼が必須です。そうすると仲介手数料が掛かりますが、住宅ローンが組めずに取引を断念することを考えれば、必要な経費と考えるべきでしょう。

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個人間売買・親族間売買でのトラブルや損失を回避するには?

個人間・親族間売買はどこに依頼する?

以上の注意点を踏まえて、損失やトラブルの無いよう個人間売買・親族間売買の手続きを進めていくにはどうすればよいのでしょうか?
売買価格が適正でなかったために多額の税金を課せられてしまった、適法な売買契約書の作成をしていなかったために後日トラブルになった、住宅ローンが組めず売買に失敗したなどということを回避するには、やはり専門家への依頼を検討すべきでしょう。

それでは、どのような専門家に依頼をすればよいのでしょうか?
まずはどのような取引であるかによって依頼先が変わってきます。

  • 登記と売買契約書のみで問題が無い

という場合であれば司法書士事務所で対応可能です。
司法書士は不動産登記などの専門家ですが、各司法書士事務所によって得意分野が違ったり業務の対応範囲も違います。個人間・親族間売買についての知識・経験が豊富な事務所に相談した方がよいでしょう。

  • 住宅ローンを利用したい
  • 適正価格の判定が必要
  • 不動産に問題がある可能性がある

といったケースでは、やはり不動産業者へ依頼するべきでしょう。
しかし、すべての不動産業者が個人間・親族間売買を取り扱っているわけではありません。
専門の知識や実績のない不動産業者では、担当者がみなし贈与等の税務リスクや個人間・親族間売買の住宅ローン利用のハードルの高さなどを理解していない場合があります。しっかりと対応してくれる業者かよく確認してから依頼するようにしましょう。

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中野リーガルホームの個人間売買・親族間売買

中野リーガルホームは、司法書士の資格と不動産仲介業の資格の両方を持つ、業界でもまれな事務所です。
そのため、登記のみで問題の無い場合、仲介業務が必要となる場合のどちらのケースでも対応しております。
様々なケースに対応できるため「どこに相談すれば良いかわからない」という場合でも安心してご相談いただけます。
もちろん住宅ローン申請のサポートもおこなっております(提携金融機関有)。

また、仲介業務が発生した場合でも個人間・親族間売買の仲介手数料は半額で承っております。
当事務所の「個人間・親族間売却」について、詳しくはこちらをご覧ください。
「個人間・親族間での不動産売買について」

お客様の状況やご要望に合わせ、最適なプランをご提案いたしております。まずはお気軽にご相談ください。

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費用の目安についてはこちらをご確認ください

初回投稿日: 2022年9月20日
最終更新日:2025年12月17日

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