普通の売却とは違う?相続した家の手続き・税金・注意点│相続不動産の売却

相続不動産の売却は通常の売却と異なる手続きも!スムーズに進めるには?

親から家や土地を相続したとき、「売却したい」と考える人も少なくありません。ですが、相続した不動産の売却は、普通の不動産売却とは違い、相続に関する特別な手続きが必要になります。

たとえば、相続人全員で話し合う「遺産分割協議」や、法務局で行う「相続登記」など、期限が決まっているものもあり、忘れると損をしてしまう可能性があります。さらに、売却には譲渡所得税・印紙税・登録免許税といった税金もかかるため、事前に知っておくことが大切です。

この記事では、相続不動産を売却するときの流れ、かかる税金、注意すべきポイントをわかりやすく解説します。これから相続を迎える方や「不動産の売却は通常とどう違うのだろう?」と疑問に思っている方は、ぜひ参考にしてください。

相続不動産の売却はなぜ特別?通常の売却との違い

自分の持っているマンションを売りたいときは、どうするでしょうか?不動産会社に査定を依頼して、買い手が見つかれば契約を結ぶ─これが通常の売却の流れです。

ところが、親から家や土地を相続して売りたいとなると話は変わります。その不動産は「誰が相続するのか」がまだ決まっていない状態かもしれません。兄弟姉妹や家族みんなが相続人になるので、まずは相続特有の手続きをしなければ売ることができないのです。

相続特有の手続きとは「遺言書の確認」「遺産分割協議」「相続登記」といったものです。どれも重要で避けられない手順ですので、まずは一つひとつの流れを順番に確認していきましょう。

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相続不動産を売却する流れをステップごとに解説

不動産を売るときは、通常なら「査定 → 売却契約 → 引き渡し」という流れですが、相続した不動産を売る場合はその前に“相続特有の手続き”が必要です。これは、誰がその不動産を相続するのかを法律的に確定させるためで、通常の売却よりも手順が多くなります。

流れ① 遺言書の確認

  • 親が遺言書を残している場合、その内容に従って財産を分けます。
  • 遺言書がない場合は、民法のルールに従って分割します。

👉 最初に「誰が何を相続するか」を確認する大事なステップです。

流れ② 財産や相続人の確認

  • 相続するのは不動産だけではなく、預金・株式・借金も含まれます。
  • 相続人を確定するために、亡くなった人の出生から死亡までの戸籍を集めます。

👉 誰が相続人なのかをはっきりさせないと、後の手続きが進められません。

流れ③ 必要書類の準備

相続登記や協議に必要な書類を揃えます。

  • 相続人全員の戸籍謄本・印鑑証明書
  • 遺言書または遺産分割協議書
  • 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで)・住民票の除票
  • 不動産の登記事項証明書・固定資産評価証明書 など

👉 書類は郵送で取り寄せることもあり、時間がかかるので早めの準備が必要です。

流れ④ 遺産分割協議

  • 相続人全員で「財産をどう分けるか」を話し合います。
  • 決まった内容を「遺産分割協議書」にまとめ、全員が署名・実印で捺印します。

👉 全員の同意が必要ですが、必ずしも同じ場所に集まる必要はなく、書面で合意することも可能です。

流れ⑤ 相続登記

  • 不動産の名義を亡くなった人から相続人へ変更する手続きです。
  • 法務局で「所有権移転登記」を行います。
  • 個人でもできますが複雑なので、司法書士に依頼するのがおすすめです。

👉 名義変更をしないと売却できません。

流れ⑥ 不動産の査定

  • 不動産会社に依頼して「いくらで売れそうか」を調べます。

👉 売却価格を決めるための重要な準備です。

流れ⑦ 不動産の売却

  • 買主が見つかれば売買契約を結びます。
  • 仲介業者と「媒介契約」を結ぶ必要があり、種類は3つ(一般・専任・専属専任)。

👉 専任系の媒介契約は、1社としか契約できませんが、売却状況の報告義務があるため安心で、買主も見つかりやすいとされています。

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相続不動産の売却にかかる税金と節税のポイント

家や土地を相続して「売りたい」と思ったとき、ただ売るだけでは終わりません。売却には必ず税金がかかるからです。ここでは、相続不動産を売却するときに知っておきたい税金と節税の工夫を紹介します。

譲渡所得税(所得税・住民税)

不動産を売って利益が出ると、その利益に対して所得税と住民税がかかります。これをまとめて譲渡所得税と呼びます。

  • 計算方法は「売却金 − かかった費用」。
  • 例えば、家を2,000万円で売ったとしても、そのまま2,000万円に税金がかかるわけではなく、購入費用や修繕費などを差し引いた残りに税率をかけます。
  • 相続した不動産は「購入時の費用がわからない」こともあります。その場合は、売却金の5%を概算費用として計上できます。

👉 ただし、実際の資料(確定申告書や住宅のチラシなど)があれば、より多くの費用を差し引けて節税につながります。

印紙税

売買契約書には「収入印紙」を貼る必要があります。これが印紙税です。

  • 契約金額によって印紙の値段が変わり、200円から最大60万円まで幅があります。
  • 印紙を貼ることで「税金を払った」とみなされます。

👉 契約書に印紙がないと正式な取引になりません。

登録免許税

不動産の名義を変えたり、抵当権を消したりするときにかかるのが登録免許税です。

  • 所有権移転登記:不動産の価格に0.4%をかけて計算。
  • 抵当権抹消登記:不動産1件につき1,000円。

👉 例えば、土地と建物を相続して売る場合は、抵当権抹消だけでも2,000円が必要になります。

この記事も読まれています|不動産売却時に支払う税金への対策についてポイントを解説

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相続した不動産を売却する際に活用したい特例や控除

親から家や土地を相続して売却するとき、ただ売るだけではなく税金を減らすための特別ルール(特例や控除)を使える場合があります。これを知っているかどうかで、支払う税金が大きく変わることもあるのです。

期限は「相続から3年以内」

これらの特例や控除は、相続から3年以内に売却した場合にしか使えません。もし「使う予定がない不動産」を持っているなら、早めに売却したほうが損をしない可能性があります。

代表的な特例・控除

  1. 取得費加算の特例
  • 相続税を払った人が使える制度です。
  • 不動産を売ったときの利益(譲渡所得)を計算するときに、相続税として払った金額を“費用”に加えられるのがポイント。

👉 つまり「税金を払った分を売却の計算に含められる」ので、結果的に税金が軽くなります。

  1. 相続空き家の3,000万円特別控除
  • 相続した家が「空き家」になっていて、それを更地にして売却する場合に使える制度です。
  • 売却益を計算するときに、通常の費用とは別に3,000万円を差し引けるのが特徴。

👉 例えば、売却益が3,500万円だった場合でも、3,000万円を控除できるので、課税対象は500万円になります。

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相続不動産を売却するときの注意点

親から家や土地を相続して「売りたい」と思ったとき、ただ売却の手続きを進めればいいわけではありません。相続不動産には特有のルールや注意点があり、それを知らないと後でトラブルや損失につながることもあります。ここでは、特に重要な3つのポイントを紹介します。

注意点① 相続登記は2024年から義務に

これまでは「相続登記」に期限がなく、名義変更をしないまま放置されるケースもありました。しかし、2024年からは義務化され、所有権を取得したことを知った日から3年以内に申請しなければなりません。

  • 相続登記をしないと不動産を売却できません。
  • 売却に使える特例や控除にも期限があるため、登記は早めに済ませることが大切です。

👉 期限を過ぎると受験できないのと同じで、登記をしないと売却できません。

注意点② 物件は念入りに調査する

中古の不動産を売るときは、契約不適合責任に注意が必要です。

  • 契約書に書かれていない不具合(雨漏りやシロアリ被害など)が見つかると、売主が補修費用を負担しなければなりません。
  • これを防ぐために、専門家によるインスペクション(住宅診断)を利用して、売却前に物件をしっかり調査することが重要です。

👉 壊れているのを隠して売ると後でトラブルになるので、事前にチェックして説明する必要があるのです。

注意点③ 遺産分割方法はしっかり話し合う

相続人が複数いる場合、財産の分け方を決める遺産分割協議が必要です。

  • 話し合いがまとまらないと、家庭裁判所での調停にまで発展する可能性があります。
  • すべての相続人が納得できるように、時間をかけて丁寧に話し合うことが大切です。

👉 全員が納得しないと後で揉めるので、しっかり話し合うことが必要です。

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まとめ:専門家に相談してスムーズに売却を進めよう

相続した不動産を売却するには、通常の売却手続きだけでなく、遺産分割協議や相続登記といった特別な手続きも必要になります。さらに税金や期限のルールもあるため、個人で進めると時間や費用がかかり、思わぬトラブルにつながることもあります。

そこで頼りになるのが専門家です。司法書士や不動産会社に相談すれば、複雑な相続と売却の手続きをまとめて進めることができ、安心して不動産を売却できます。
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私たち「中野リーガルホーム」は、清澤司法書士事務所を母体とする専門チームとして、中野区を中心に東京23区で相続不動産の売却をサポートしています。相続に関する不安を解消し、スムーズな売却を実現するために、ぜひお気軽にご相談ください。

初回投稿日: 2023年8月29日
最終更新日:2025年12月10日

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