相続不動産をスムーズに現金化! 換価分割の手続きと注意点を徹底解説

「親が残してくれた家、どうやって分ければいい?」
相続が発生したとき、最も悩ましいのが不動産の分け方です。兄弟姉妹などの相続人同士で公平に分けたいと思っても、家はひとつだけ。誰かが住み続けるべきか、それとも売却して現金で分けるべきか――話し合いが進まず、気まずい雰囲気になってしまうことも少なくありません。

そんなときに選択肢として挙がるのが「換価分割」という方法です。 不動産のように分けにくい相続財産を売却して現金化し、その代金を相続人で分け合うことで、スムーズかつ公平な相続が可能になります。

ただし、売却には登記や税金、遺産分割協議書の作成など、見落としがちな手続きが数多くあります。 この記事では、換価分割の基本から具体的な流れ、注意すべきポイント、そして専門家に依頼するメリットまで、わかりやすく解説していきます。

相続した不動産の換価分割

目次

換価分割とは?|他の分割方法との違いとメリット・デメリット

換価分割とは、相続財産を売却して現金化し、その代金を相続人で分け合う方法です。たとえば、相続した家を3,000万円で売却し、兄弟2人が1,500万円ずつ受け取るようなケースが該当します。

📌他の分割方法との違い

分割方法内容向いているケース
現物分割財産をそのまま分ける(例:土地を分筆)複数の財産がある場合や分けやすい場合
代償分割一人が財産を取得し、他の相続人に代償金を支払う一人が住み続けたい場合など
換価分割財産を売却して現金で分ける不動産が一つしかない場合や公平に分けたい場合

✅ 換価分割のメリット

  • 公平に分けやすい:現金で分配するため、相続人間の不満が生じにくい
  • 資産の流動性が高まる:不動産を現金化することで使いやすくなる
  • 維持管理の負担がなくなる:空き家などの管理コストを回避できる

⚠ 換価分割のデメリット・注意点

  • 売却までに時間がかかることも:買い手が見つからない場合、相続が長期化する可能性あり
  • 譲渡所得税が発生する場合がある:売却益に対して税金がかかることも
  • 感情的な対立が起こることも:住み続けたい相続人がいる場合、売却に反対されることも

換価分割は、相続人全員が納得して進めることが前提です。 次の章では、どんなケースで換価分割が向いているのか、実際の事例を交えてご紹介します。

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換価分割が適しているのは、こんなケース│判断ポイントと事例紹介

換価分割は、すべての相続に適しているわけではありません。どんな状況で換価分割が有効なのかを具体的に整理していきましょう。

✅換価分割が適している典型的なケース

  • 相続財産が不動産1件のみで、分けにくい場合
    → 現物分割が難しく、代償分割も困難なときに有効です。
  • 相続人の誰も不動産を利用する予定がない場合
    → 空き家になる可能性が高く、管理や税負担を避けたいとき。
  • 相続人が遠方に住んでいる/生活拠点が異なる場合
    → 不動産の共同管理が現実的でないため、現金化して分配する方が合理的です。
  • 納税資金や生活資金の確保が必要な場合
    → 不動産を売却することで、相続税や生活費に充てることができます。

💬よくある疑問と判断のヒント

Q:公平に分けたいけれど、感情的な対立が心配です。
A:換価分割は現金で分配するため、分け方に納得しやすい方法です。ただし、売却に反対する相続人がいる場合は、事前の合意形成が不可欠です。

Q:3人兄弟妹で相続不動産を売却して現金で分けたいと考えていますが、兄が住み続けたいと言っています。どうすればよいでしょうか?
A:このような場合は「代償分割」が適している可能性があります。兄が不動産を取得し、他の兄弟に代償金を支払うことで公平性を保てます。
👉 詳しくは代償分割のコラムをご覧ください。

Q:不動産が売れなかったらどうなる?
A:売却が長引くと相続手続きも停滞します。早めに不動産会社へ査定を依頼し、売却方針を固めることが重要です。買取という選択肢も視野に入れるとスムーズです。

👉 空き家であれば空き家買取のコラムをご覧ください。

🏡実際の事例から見る換価分割の有効性

たとえば、兄弟3人で相続した築40年の空き家。誰も住む予定がなく、維持費や管理の負担が懸念されていました。そこで換価分割を選択し、2,500万円で売却。売却代金は相続人それぞれに約830万円ずつ分配され、結果的に公平な相続が実現しました。
このように、換価分割は「誰も住まない不動産をどうするか」という悩みに対して、現金化によるスムーズな解決策となります。

実際に弊社へご依頼いただいたお客様の声もぜひご覧ください。
👉 お客様の声:換価分割で相続人同士、平等に分けることができました

換価分割と代償分割は、どちらも「公平な相続」を目指す方法ですが、選ぶべき手段は状況によって異なります。不動産の利用予定、相続人の関係性、資金の有無などを踏まえて、最適な方法を選ぶことが大切です。「自分のケースには換価分割が合っているのか、それとも別の方法がいいのか…」 そんなふうに迷われたときは、ぜひ私たちにご相談ください。

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換価分割の進め方│6つのステップでわかる手続きの流れ

換価分割は、相続人全員の合意を前提に、不動産の売却から代金の分配、税務申告までを段階的に進める必要があります。以下の6ステップを押さえておけば、手続きの流れが明確になり、安心して進めることができます。

STEP 1|相続人全員の合意を確認(遺産分割協議)

最初に、相続人全員が換価分割に同意していることを確認します。
売却に乗り気でない相続人がいる場合もあるため、メリット・デメリットを共有し、納得のいく協議を行うことが重要です。売却後の分配割合についても、この段階で明確にしておきましょう。

📌ポイント

  • 合意形成ができなければ換価分割は進められません
  • 感情的な対立がある場合は、専門家の同席や第三者の調整が有効です

STEP 2|遺産分割協議書の作成

合意内容を文書化した「遺産分割協議書」を作成します。
換価分割を行う旨と、売却後の代金分配方法を明記する必要があります。

名義の扱いには2つの方法があります:

  • ① 相続人全員が共有名義で取得する方法(原則)
    → 各相続人が持分割合に応じて登記され、共同で売却手続きを進めます
  • ② 代表者1名が単独名義で取得する方法
    →協議書の記載が不十分だと「贈与」とみなされるリスクがあります
遺産分割協議書

📌ポイント

  • 原則は①の共有名義。②を選ぶ場合は、協議書に「換価分割のための単独登記であること」「売却後に分配する旨」を明記すること
  • 協議書には相続人全員の署名・実印が必要です
  • 記載ミスによる贈与税課税を防ぐため、司法書士の確認を受けましょう

STEP 3|相続登記(名義変更)

協議書に基づき、不動産の名義を相続人へ変更します。
これを「相続登記」と呼び、法務局に申請します。

  • 必要書類:戸籍謄本、住民票、印鑑証明書、遺産分割協議書など
  • 登録免許税の納付が必要
  • 登記完了までの目安:1〜2週間程度

📌ポイント

  • 登記が完了しないと売却できません
  • 名義人が複数の場合は、持分割合に応じた登記が必要です

STEP 4|不動産売却の実施

登記が完了したら、売却手続きに進みます。
不動産会社に査定を依頼し、仲介または買取の方針を決定します。

  • 業者選定は相続人全員で行う
  • 媒介契約・売買契約も全員の署名が必要
  • 売却価格や条件は事前にしっかり確認を

📌ポイント

  • 売却活動は時間がかかることもあるため、信頼できる業者選びが重要
  • 相続人間で売却方針を共有しておくとスムーズです

STEP 5|売却代金の分配

売却代金は、遺産分割協議書に記載された割合に従って分配します。

  • 各相続人の口座へ振込
  • 預金小切手での受領も可能
  • 分配方法は事前に合意しておくと安心

📌ポイント

  • 分配の記録を残しておくことで、後々のトラブルを防げます
  • 代表者が一括で受け取る場合は、分配の証拠を明確に残しましょう

STEP 6|譲渡所得税の申告

不動産の売却によって利益(譲渡益)が出た場合は、譲渡所得税の申告が必要です。
申告は翌年の確定申告時に、各相続人が個別に行います。

  • 代表者がまとめて申告するのではなく、各自が申告
  • 「相続した空き家の特例(3,000万円控除)」などの節税制度もあり
  • 特例を受けるには、協議書に売却方針を明記し、条件を満たす必要があります

📌ポイント

  • 税務申告は税理士に相談することで、漏れなく安心して進められます
  • 特例の適用には事前準備が必要。協議段階で税務面も確認しましょう

この6ステップを押さえておけば、換価分割の流れを迷わず進めることができます。

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換価分割は専門家に依頼すべき? 必要書類や手続きを見直し

換価分割は、相続人全員の合意形成から不動産の売却、代金の分配、税務申告まで、多くのステップを踏む必要があります。その中でも特に負担が大きいのが、必要書類の収集と正確な書類作成です。

📄 換価分割に必要な主な書類

不動産を売却し、その代金を相続人で分け合うためには、以下のような書類が必要になります:

  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 被相続人と相続人全員の住民票
  • 固定資産評価証明書
  • 遺産分割協議書(換価分割の旨を明記)
  • 相続人全員の印鑑証明書

※ 預貯金など他の遺産を相続する場合には、さらに追加の書類が必要になることもあります。
※ 書類の取得先(市役所・法務局など)や必要枚数を事前に確認しておくことが重要です。

⚠ 書類の不備が招くリスク

  • 協議書の記載が不十分だと、売却代金の分配が「贈与」とみなされ、贈与税が課される可能性があります
  • 登記申請書の誤記や添付書類の不足で、登記が却下されることも
  • 空き家の譲渡所得控除(3,000万円特例)などの税務特例を受け損ねるケースも

こうしたリスクは、法的知識と実務経験がなければ見落としがちです。

👨‍⚖️ 司法書士に依頼するメリット

相続手続きを専門とする司法書士は、以下のような業務を日常的に行っています:

  • 遺産分割協議書の作成支援
  • 登記申請書の作成と提出代行
  • 必要書類の取得代行
  • 換価分割に関する法的アドバイス

不備なく円滑に各種手続きを行うためにも、換価分割による相続手続きは相続を専門としている司法書士に依頼する事をお勧めいたします。

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まとめ:公平な相続のために、まずは専門家に相談を

換価分割は、相続人全員の合意形成から不動産の売却、税務申告まで、複数の手続きが絡む複雑なプロセスです。「自分たちだけで進められるか不安」「何から始めればいいかわからない」――そんなときこそ、専門家の力を借りるべきタイミングです。
中野リーガルホームは、不動産仲介業の資格も保有するWライセンスの司法書士が運営しております。そのため、相続手続きと不動産売却の両方を一度にご依頼いただけます。
必要書類の取寄せから、遺産分割協議書の作成、不動産売却、売買代金の分配まですべておまかせください。また相続税や譲渡所得税に関しても、連携する税理士のご紹介で対応が可能です。
当事務所ならではのサービスで、相続に係る手続きから売却までのすべてを一括して安全にサポートいたします。

まずは面談をさせて頂き、詳しくお話を伺ったうえで、状況にあったプランのご提案をさせて頂きます。
初回のご相談は無料で承っておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。

最終編集日:2025年9月18日

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