年金だけでは足りない…定年後に住宅ローンが払えなくなったら?│任意売却・住宅ローン滞納

定年後に住宅ローンが残っているのは問題?知っておきたいポイントを解説!

「定年まであと数年。返済期間を延ばしたおかげで月々の負担は軽くなったけれど、完済予定が65歳を過ぎてしまった…年金だけで本当に返せるのだろうか?」

住宅ローンの返済が苦しくなると、返済期間を延ばして月々の負担を軽くする方法があります。確かに一時的には家計が楽になりますが、その分完済時期が定年後にずれ込み、年金収入だけでは返済が厳しくなるという新たな不安を抱えることになりかねません。

実際、定年を迎えてもなお住宅ローンが残っているケースは珍しくなく、生活費との両立が難しくなる方も少なくありません。返済が滞れば延滞金や信用情報への影響が生じ、最悪の場合は競売に至るリスクもあります。

この記事では、定年後の収入と支出の目安を踏まえつつ、老後破産につながりやすい原因や注意点を整理し、現実的な解決策をご紹介します。老後の生活を守るために、どんな選択肢があるのかを一緒に確認していきましょう。

目次

定年後の収入と支出—現実を知ることから始めよう

総務省の「家計調査(2024年平均)」によれば、年金を主な収入源とする夫婦2人以上の無職世帯(夫婦のみ)の月平均は、

  • 可処分所得(税金や社会保険料を差し引いた後の手取り):約22.2万円
  • 消費支出:約25.7万円

で、毎月約3.4万円の赤字となっています。
また、65歳以上の単身無職世帯では、

  • 可処分所得:約12.1万円
  • 消費支出:約14.9万円

で、毎月約2.8万円の不足が生じています。

「可処分所得」とは、実収入から所得税・住民税、健康保険料や介護保険料などを差し引いた後に、生活費として自由に使える金額です。つまり、統計上の平均でもすでに赤字傾向があり、貯蓄を取り崩して生活を維持している世帯が多いことが分かります。

年金受給額の平均はどれくらい?

厚生労働省の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、年金受給額の平均は以下の通りです。

  • 厚生年金(夫婦2人分のモデルケース):月額約22万円
  • 国民年金(満額、1人分):月額約6.5万円

自営業やフリーランスの方など、国民年金のみの場合は夫婦2人でも月13万円程度となり、厚生年金に比べて生活費の確保が一層厳しくなります。

高齢夫婦世帯の生活費の内訳

総務省の家計調査では、高齢夫婦世帯の月々の生活費は平均約25.7万円ですが、その内訳は以下のようになっています。

  • 食費:約6.5万円
  • 光熱・水道費:約2万円
  • 通信費・交通費:約2.5万円
  • 医療費・保険:約1.5万円
  • その他(日用品、交際費、娯楽など):約13.2万円

この中に住宅ローンの返済が加わると、家計はさらに圧迫されます。

住宅ローン返済額が生活費に占める割合

仮に月々のローン返済額が5万円の場合、可処分所得22.2万円に対して約22.5%を占めることになります。返済額が7万円であれば約31.5%、10万円なら約45%にも達し、生活費を大きく圧迫します。

一般的に、住宅ローンの返済比率は収入の25%以内が理想とされていますが、年金収入だけでは返済比率が高くなりやすく、生活費とのバランスが崩れやすいのが現実です。

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老後破産を招く原因—あなたは大丈夫?

近年では「老後破産」と呼ばれる現象が社会問題になっています。定年後に収入が年金だけになると、生活費をまかなうのが難しくなり、破産に至る人も珍しくありません。

その原因のひとつが住宅ローンの残債です。すでに赤字になりやすい老後の家計にローン返済が加わると、やりくりが困難になり、最終的に返済不能に陥るケースがあります。

原因1:返済計画の甘さ—退職金頼みの落とし穴

「退職金でまとめて返済すれば大丈夫」と考えて、定年後も続く返済計画を組んでいる方は少なくありません。しかし、退職金は老後の生活資金や医療費、介護費の備えとしても重要です。

退職金を住宅ローンの返済に充ててしまうと、手元に残る資金が不足し、その後の生活が立ち行かなくなるリスクがあります。また、近年は退職金制度そのものが縮小傾向にあり、想定していた金額を受け取れないケースも増えています。

原因2:想定外の支出—医療費・介護費・リフォーム費用

老後は健康上のリスクが高まります。若いころには少なかった病気やケガが増え、医療費や介護費用の支払いが続くことで家計を圧迫します。厚生労働省の統計でも、高齢者の医療費は年齢とともに増加していることが示されています。

さらに、長年住んだ自宅は建物や設備の修繕費が必要になる時期を迎えます。屋根や外壁の補修、給湯器や水回りの交換などは数十万円から百万円単位の出費になりやすく、まとまった支出が老後破産のきっかけになることもあります。

原因3:物価高騰と収入減少への対応の遅れ

近年は物価の高騰も大きな要因です。総務省の消費者物価指数によると、食料品や光熱費はこの数年で上昇傾向にあり、年金収入だけでは生活費をカバーしにくくなっています。

年金は物価スライド制により調整されますが、そのタイミングは遅れがちで、実際の生活費の増加に追いつかないのが現実です。収入が減少しても支出を見直さず、これまでの生活水準を維持しようとすると、貯蓄の取り崩しが加速し、気づいたときには手遅れになっているケースも少なくありません。

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返済が難しくなったときの選択肢とは

もし住宅ローンの返済を滞納するとどうなるのでしょうか。最初は督促の通知が届きますが、返済が続けてできない場合、金融機関は保証会社に代位弁済を求め、その後は保証会社や債権回収会社からの請求に切り替わります。さらに滞納が長引けば、最終的には競売にかけられ、家を失う可能性もあります。
こうした事態を回避するためには、いくつかの方法があります。

1. 定年後も仕事を続ける

パートや再雇用などで収入を確保すれば、年金だけでは足りない生活費やローン返済を補えます。「どのくらい働けば年金が減らないのか」「ローン返済と両立できるか」など不安がある場合は、年金事務所や専門家に相談するのが安心です。

2. 住宅ローンの借り換え

金利や返済条件が良くなると、毎月の返済額が減り、負担が軽くなります。ただし、借り換えには審査があり、年齢や収入状況によっては利用できない場合もあるため、早めの検討が重要です。

3. リースバックの活用

自宅を売却したうえで買主と賃貸契約を結び、家賃を払って住み続ける方法です。売却代金を残債返済に充てられるため、借金を整理しつつ住み慣れた家に暮らせます。ただし、家賃の支払いが必要になる点や、将来的に家賃が上昇する可能性がある点には注意が必要です。

4. 任意売却を検討する

競売になる前に、専門家の協力を得て自宅を市場価格に近い金額で売却する方法です。競売よりも高く売れる可能性が高く、残債の圧縮や引っ越し費用の捻出など、柔軟な対応ができる場合があります。

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まとめ:老後の生活を守るために、今できることを始めよう

一般的に定年後の家計は赤字になりやすく、住宅ローンが残っているとさらに厳しい状況に追い込まれる可能性があります。老後破産の原因は住宅ローンだけでなく、物価上昇や医療費、修繕費、そして退職金頼みの返済計画や収入減少への対応の遅れなど、複数の要因が重なることで深刻化します。

しかし、仕事の継続、借り換え、リースバック、任意売却などの方法を知っておけば、破産を回避する道はあります。そして何より大切なのは、早めに専門家へ相談することです。

一人で抱え込んでいると、状況はどんどん悪化してしまいます。司法書士や不動産会社などの専門家に相談すれば、あなたの状況に合った最適な解決策を一緒に考えてもらえます。「こんなことを相談してもいいのだろうか」と迷う必要はありません。専門家は、あなたと同じ悩みを抱えた多くの方をサポートしてきた経験があります。

私たち「中野リーガルホーム」は、中野区を中心に東京23区で不動産売却のサポートを行っています。司法書士資格を持つスタッフが法律面からも丁寧に対応いたしますので、安心してご相談ください。老後の生活を守るために、今できる一歩を踏み出しましょう。

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初回投稿日: 2023年8月29日
最終更新日:2025年12月18日

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